公益財団法人 全国税理士共栄会文化財団

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顕彰・助成実績

■ 令和元年度 (2019年度・第29期)
  第28回「全税共 人と地域の文化賞」

 第28回「全税共 人と地域の文化賞」贈呈式が、2020年2月17日帝国ホテル東京にて執り行われました。
 本年度は伝統芸能分野から隠岐神楽が受賞されました。

賞金100万円(全国税理士共栄会文化財団)副賞100万円(全国税理士共栄会)



伝統芸能分野
隠岐神楽(島根県)
受章者を囲んで受章者

~隠岐神楽の保存と継承~
 隠岐神楽は島前(どうぜん)神楽と島後(どうご)神楽に分けられる。太古からの神事舞である神楽が、出雲の佐太(さだ)神社の例祭にて奉納される佐陀(さだ)神能(しんのう)として様式が成立し、それが中国地方一帯から九州、更に全国に伝播された。島根県の代表的な神楽には出雲神楽と石見神楽があるが、隠岐神楽は「社家(しゃけ)」と呼ばれる神楽師により伝承され出雲流神楽の古式を今に残している貴重な伝統芸能である。
 隠岐島後神楽の久見(くみ)神楽は佐陀神能の古態を残し、地域の祭事や伊勢命(いせみこと)神社の祭礼等において賑々しく演じられ島後島民の結束の象徴となっている。巫女による古風な神招(かみお)ぎの舞のある前座の舞の後、猿田彦の舞、八乙女神楽、鬼退治などが演じられる。
 隠岐島前神楽は島前三島(西ノ島、中ノ島、知夫里島(ちぶりじま))の各集落の神社において奉納される。常設の神楽殿は無く祭事に合わせ仮設の舞台が組まれ、舞台は2間四方の8畳間を基本としその中の方1間(ほういっけん)(2畳)で舞うのが特色であり、天井には紙垂(しで)で飾られた玉蓋(ぎょくがい)が吊るされている。演目の最後に降りてくる玉蓋は神の降臨を象徴、2畳の舞場は人間が住む地上を表し神の祝福がその全てを覆うという意味を感じさせる。
 島前神楽は「舞い」と「能」とに大別され夜を徹して演じられた。明け方に巫女が神楽の最重要である神懸りによる託宣を行ったが、明治になり神懸りが禁じられたため現在は「神子神楽(みこかぐら)」にかすかに形式を残すのみである。
 船上での舞いや巫女が1歳未満の乳児を抱き無事の成長を祈る「舞い児(まいこ)」は次の世代のお披露目も兼ねており今も盛んに行われているなど、神楽が地域と一体となっていることがうかがえる。
 演戯だけでなく神事の要素も保存されており、他では見られない古式の演目が残っている隠岐神楽は顕彰に値するものである。



■ 令和元年度 (2019年度・第29期)

芸術活動分野
①ヒロシマ・ミュージック・プロジェクト(広島県廿日市市)
ヒロシマ・ミュージック・プロジェクト(広島県廿日市市)

 儀式等で舞う神楽が歴史的に重視されてい るが、中山間地域では神楽団や歴史ある神楽の大会が消滅の兆しをみせている。
 “農耕儀礼と奉納” “鎮魂と再生と復興” “自然との共生”を原意としている「伝統神楽」の「創作神楽」への応用発展等について、レクチャー・ワークショップや公演を通して検証していく。
 また【平和の舞】として<ヒロシマからのメッセージ-負の遺産 核兵器廃絶・平和への希 求>を世界に発信し祈念することを目的としている。

②川本 直人(神奈川県川崎市)
川本 直人(神奈川県川崎市)

 2012年秋、尾道市瀬戸田町因島にある140年の歴史をもつ南小学校の閉校記念に人々の記憶に残るイベントをしたいとの依頼を受け、校庭で映画を上映した。翌年からは瀬戸田・映画・祭をテーマに瀬戸田映画祭として開催、現在も続いている。
 毎年夏にはしまなみ海道を渡った生口島と高根島で開催され、各回毎に場所や内容を変え様々な作品の上映や演劇、地元の名産品を使ったメニューを出す店など島々を満喫できる映画祭を試みている。

③ちちぶオペラ実行委員会(埼玉県秩父市)
ちちぶオペラ実行委員会(埼玉県秩父市)

 ちちぶオペラの特徴はメインソリストをはじめとする合唱団員のほとんどが地元秩父市出身で占められている点である。日本ではオペラはまだまだ敷居が高く敬遠されがちであるが、団員が地元出身ということもあり身内や知人などが気軽に鑑賞でき、また入場料を抑えることでより多くの観客の誘導に成功した。さらには「オペラをたのしもう!」というワークショップやアウトリーチとして市内の小学校に赴くなど、オペラの普及に尽力している。

④かえるP(東京都国立市)
かえるP(東京都国立市)

 東京・横浜を中心として「ダンスの根源を探る」ことをテーマにコンテンポラリーダンスの創作・上演を行っている。生活に密着した土着のダンスを標榜し、ダンサー然としていない姿を晒すことで立ち現れる関係性を構築することによりダンス表現が持つ可能性を開拓することを目指す。
 小学校でのアウトリーチや一般市民を対象としたワークショップなどを実施し、幅広い世代と関係性を保ちながらダンス表現の裾野を広げている。

⑤INOUE DANCE OFFICE(東京都文京区)
INOUE DANCE OFFICE(東京都文京区)

 代表の井上大輔氏のソロダンス上演と、プロとアマチュアの協働ダンスカンパニー「ダンスポート」での上演という2つを軸として活動している。「ダンスポート」は、ダンスキャリア・年齢・職業・障害・国籍などの垣根を払った多様な世代・バックグラウンドを持った参加者が集まり、踊る楽しさと観る喜びを体感させるプログラムとして好評を得ている。
 また、小学校でワークショップを行うなどコンテンポラリーダンスの普及活動にも取り 組んでいる。

⑥とやま世界こども舞台芸術祭実行委員会(富山県富山市)
とやま世界こども舞台芸術祭実行委員会(富山県富山市)

 世界及び全国各地から次代を担う子供たち が富山に集い、舞台芸術公演やワークショップを通じて学ぶ・交流・体験することで豊かな感性や創造性、コミュニケーション能力を育み、人間形成に大きな影響を与えることができる芸術祭である。
 また、当芸術祭の運営を通じて地域において文化を支える人材・ノウハウ等の基盤形成に役立ち、地方創生にもつながる活動をしている。


⑦土佐和紙国際化実行委員会(高知県吾川郡)
土佐和紙国際化実行委員会(高知県吾川郡)

 吾川郡いの町は紙の町としてその名が知られており、種類の豊富さと卓越した品質は国内外から高評価を得て、昭和51年に国の伝統的工芸品に指定された。
 和紙文化と版画文化のさらなる発展と文化交流の場をつくることを目的として平成2年に「高知国際版画トリエンナーレ展」を開催、今回で30年目となる第11回を迎える。紙に刷った版画作品のみを対象としてプロ・アマ問わず国内外より募集し、200点近くを選出し博物館にて58日間にわたり展示を行う。


⑧特定非営利活動法人東京ソテリア(東京都江戸川区)
特定非営利活動法人東京ソテリア(東京都江戸川区)

 江戸川区で精神障害者支援を行っている。とくに精神障害に対する一般社会への普及啓発に力を入れており、研修会や講演会を積極的に開催している。
 数年前からイタリアボローニャ精神保健局の全面的協力を得て、患者たちによるプロフェッショナルな劇団「アルテ・エ・サルーテ」を招聘し、日本人の精神障害者当事者および医療従事者も参加して共同で演劇を作り上げるなど国際交流事業も広く展開している。


⑨一般社団法人金澤芸術文化交流ネット サルーテ(石川県金沢市)
一般社団法人金澤芸術文化交流ネット サルーテ(石川県金沢市)

 県内でオペラ活動を行っており芸術性と創造性、地域交流と次世代育成につなげるべく活動をしている。埋もれている人材の掘り起こしと育成の場を設けるためコンパクトな会場で新作オペラを上演、舞台装置を簡略化するためプロジェクションマッピングを活用するなど、新たなオペラ制作・公演をする団体として県内外からも期待されている。
 オペラを、より幅広い層に直に体験してもらえる機会をつくることを目指している。


⑩福岡カンマーフィルハーモニー(福岡県福岡市)
福岡カンマーフィルハーモニー(福岡県福岡市)

 福岡カンマーフィルは2006年に結成されて以来、地元の福岡で演奏家と地域が親密に係わる音楽活動・文化活動を行ってきた室内合奏団であり、様々な時代と編成の楽曲の魅力を伝えてきた。
 小泉八雲の短編作品「向日葵」によるモノオペラ(登場人物が1人だけのオペラ)など独創的な作品の制作・初演を、地域の表現者と作曲家が協働して創っていくプロセスこそが地域社会において自分たちで文化を主体的に創り上げていく営みであり、地域文化を再認識する絶好の契機となる。


⑪田尾下 哲シアターカンパニー(東京都港区)
田尾下 哲シアターカンパニー(東京都港区)

 日本ではオペラ演技教育の機会が乏しいという問題に対し、オペラ歌手を対象にした演技力向上ワークショップに成果発表の場となる公演を組み合わせるプログラムなどを継続的に開催している。
 2016年に上演されたオリジナルオペラ「セヴィリアの理髪師の結婚」は歌唱力と演劇並の演技力を必要とする難しい作品だが多くの要望をうけ翌年再演された。このような物語性の高いオリジナル作品を日本オペラ界にラインアップすることの意義は大きい。

⑫Art Orque(東京都世田谷区)
Art Orque(東京都世田谷区)

 ダンスの魅力を今までにない形で発見して楽しむことを目的として活動を続けている。その根源にあるのは、代表である池宮中夫氏の「舞踊の枠に留まらず、芸術が本来持つ人間の生き様の本質と根源を問う」姿勢である。
 舞踊芸術資料の展示・公演・シンポジウムの実施を通して、豊饒な地域文化創造の源泉を体験、新たに発信しており、募集により集まった地域住民や学生などの参加者と共に調査・研究することで世代を超えた活発な人材育成を目指す。


⑬シュシ・スライマン ORGANIZING ABANDON実行委員会
(東京都港区)
シュシ・スライマン ORGANIZING ABANDON実行委員会(東京都港区)

 「負の地域資源」の再生とマレーシアと日本との文化交流という二つの軸を重ね、慢性化した問題に対してオルタナティブな解決を図るというプロジェクト。マレーシアの現代アーティストであるシュシ・スライマン氏が一棟の廃屋に注目し、そのすべてを作品化する創作活動。空き家問題と正面から向き合いつつ、その解決プロセスとしてアーティスト独自の創造性が発揮、展開されることで新たな化学反応や交流が起きることが期待できる。


⑭アプサラス(東京都狛江市)
アプサラス(東京都狛江市)

 2008年に結成された作曲家・松村禎三氏の門下生を中心とする音楽家グループであり、定期演奏会の開催や松村氏の著作集の出版などを行っている。2019年には、松村氏生誕90周年を記念し、新しい才能や優れた作品を発掘するための作曲作品コンクール「松村賞」を設立、受賞作品をお披露目する演奏会も行っている。
 また、演奏会のプログラムには、聴衆の楽曲理解の一助となるよう作曲家自身による作品解説を掲載するなど、現代の芸術音楽の普及や振興を図ることを目的としている。


⑮芽部(群馬県前橋市)
芽部(群馬県前橋市)

 前橋市立美術館「アーツ前橋」は街なかに存在する意義や表現活動全般を対象とし2013年に開館した。同美術館の学芸員による地域に根差した活動のひとつ「アートスクール」受講生により2011年に設立され、同美術館の地域アートプロジェクトに連動し文化遺産である『詩』を主軸に美術、写真、音楽など様々なジャンルを対象に企画・運営を行っている。
 また2014年から「前橋ポエトリーフェスティバル」を開催、SNSで詩と写真を募集し商店街の店頭に展示する街なか展覧会や、同市出身の萩原朔太郎にちなみ「まえばしネコフェス」の開催などを定期的に行っている。


⑯ダンス作戦会議(東京都小金井市)
ダンス作戦会議(東京都小金井市)

 ダンサーを中心としたダンス当事者により企画・制作・運営を行う、コンテンポラリーダンスの分野では珍しいアーティスト主導による集団である。ダンサーのみで立ち上げる演劇「劇団ダンサーズ」公演における言葉と身体へのラディカルな挑戦は、ダンサーならではの厳密な身体の運用や空間配置により演劇でありながらダンスとしても成立する公演である。他にも全員同じ課題曲に振り付けて踊る「課題曲と自由曲」公演など、ダンスの枠組みを様々な角度で問い直す企画を行っている。


⑰もやい展実行委員会(東京都八王子市)
もやい展実行委員会(東京都八王子市)

 東日本大震災関連のアート展。「もやい」とは本来ロープの結び方を指すが、転じて「共同作業」の意味合いも持つ。展示作品の作家と来場者のイメージの共有という「共同作業」で被災地と開催地の橋渡しを行い、大震災がもたらした未来へのメッセージを紡ぐ端緒を生み出すことを大きな目的としている。
 2017年から東京、金沢、鹿児島において計4回の展示会を開催。日本のみならず世界にまでイメージを発信する震災アート総合展示を目指す。


⑱特定非営利活動法人芸術文化ワークス(東京都板橋区)
特定非営利活動法人芸術文化ワークス(東京都板橋区)

 日本を代表するパーカッショニスト・加藤訓子氏が主宰する次世代人材養成事業。若手演奏家を対象に、演奏機会の創出、テーマと方向性を与えインキュベートすることでプロとしての全般的スキル向上を目指すという支援を行っている。
 地域との交流、芸術文化振興と生涯学習への貢献を目的として子供から大人まであらゆる一般層が参加できる各種ワークショップを開催。若者が真剣に取り組む姿を見て応援し、街の人々が文化施設に自然に集うようになることを目指す。


⑲Baobab(東京都中央区)
Baobab(東京都中央区)

 振付家・ダンサーとして多方面に活躍する北尾 亘氏が主宰するカンパニーとして2010年に旗揚げ、全作品の振付・構成・演出は北尾氏が手掛けている。作品創作の他にもダンスフェスティバルを開催するなど、業界全体を見据え様々な方向性でダンスの可能性を広げている。
 また、等身大のアプローチで親密なコミュニケーションをとり参加者のモチベーションを上げる優れた指導ノウハウを活かし、全国の劇場や地域団体、学校などで一般市民参加型のワークショップを開催している。


⑳武田 力(神奈川県横浜市)
武田 力(神奈川県横浜市)

 大学在学中に教職をとるかたわら演劇を始め、演劇出身のパフォーマンスアーティストとして制作を開始、アジア各地の民俗芸能の構造に着想を得た素材を取り上げ作品としている。制作時にはその土地に滞在し地元住民と触れ合いながら、地域の歴史や生活様式を聞き取り思考し皆で一緒に作り上げる。
 過疎化が進む地域で芸能が人々をつなぐものになればと途絶えた踊りを復活させるなど地域活性化にも尽力している。


㉑株式会社アーキタンツ(東京都港区)
株式会社アーキタンツ(東京都港区)

 2001年の設立当初より、海外の第一線で活躍する講師陣を常時招聘して365日バレエのオープンクラスを開催。若手ダンサーの育成から作品制作の環境整備、海外との橋渡しまで同時に行っている稀有なスタジオである。ダンサーのみならず振付家の育成も視野に入れ、スタジオなどの創造環境を無償で提供している。
 また、地元の小学校などでコンテンポラリーダンスのワークショップを行い幅広い人たちにダンスの魅力を伝えている。


㉒パティオ・シアター合唱団(愛知県安城市)
パティオ・シアター合唱団(愛知県安城市)

 パティオ・シアター合唱団は知立市文化会館(パティオ池鯉鮒)にて開講された舞台芸術実践講座「合唱講座」として2001年から活動を開始、毎年当該会館の公演である第九に参加し2006年に同合唱団として独立。以降は定期演奏会や市民団体による自主運営である市民音楽祭などに定期的に参加している。
 2011年からは会館との共催で市民オペラを開催、翌年からはニューイヤーコンサートを自主開催して地域に還元するなど地域に根付いた文化活動を行っている。


㉓neji&co.(京都府京都市)
neji&co.(京都府京都市)

 麿赤兒氏が主宰する「大駱駝艦」のメンバーとして活躍し、現在はソロのダンサー・振付家として国内外の様々なプロジェクトで活動、さらには国際的な視野での活躍が期待される捩子ぴじん氏が長期的な拠点の形成を目指して設立したダンスカンパニー。 
 コンテンポラリーの創造状況が弱体化している国内の舞台芸術の世界で、公演後の対談等を中心とする記録集を作成するなど言説を通して地域のアーティスト同士の交流を活性化し、劇場文化の醸成と観客の創造に貢献している。


㉔河井 朗(東京都杉並区)
河井 朗(東京都杉並区)

 河井氏の創る舞台の特徴は、ある地域や個人の個別エピソードを多面的に分析・咀嚼して再構築することにより、そのエピソードに潜在する普遍的メッセージを幅広いオーディエンスに向けて受容・吸収しやすくすることである。作品制作の過程で、公演する地域の人々やホール関係者との対話を重ね、地域の空気を織り込みながら精錬を繰り返し完成度を高めている。
 地域に根差しつつ、すぐれた普遍的事業を追求する複数の公共施設などから高い評価を得ている。


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伝統芸能分野
①土江子ども神楽団(島根県大田市)
土江子ども神楽団(島根県大田市)

毎年正月3日に仮屋行事の一環として舞われ、300年に及ぶ歴史があったが少子化の影響で平成5年に伝承が途絶えた。その後地域の努力もあり平成12年に復活、20周年を迎える。
 団員は保育園児から高校3年生までの54名で構成され、上級生による下級生の指導から舞手・奏楽など全て子供たちの手による。伝統芸能だけでなく郷土に伝わる伝説や物語も題材にしオリジナルな演目にも挑戦、地域の祭りだけでなく海外公演も行うなど年間60回を超える公演を行っている。

②栄町神楽(新潟県新潟市)
栄町神楽(新潟県新潟市)

 昭和50年に町内の有志により再興されて以来、高校生から40代までの若手を中心に小学生、女性、60代超のベテランが在籍し毎月1回の練習を行っている。
 通常は獅子頭1頭で舞うのが基本であるが場面によっては2頭で舞うこともある点や、「扇舞」の復活に意欲を燃やしている点が特徴である。また祭礼時に祭屋台と共同して屋台上での神楽舞を実現、あるいは新事業である「新津大囃子祭」の企画・参画をするなど、伝統文化継承の活動を創出している。


③植野稲荷神社太々神楽保存会(群馬県前橋市)
植野稲荷神社太々神楽保存会(群馬県前橋市)

 太々神楽の由来は元弘3年(1332年)総社の豪族である赤松氏が鎌倉幕府討伐に向かう際、戦勝を祈念し奉納したといわれており、天保8年作(1825年)の綺羅も現存している。
 特色は全てが神々にまつわり形容する舞で緩舞・早舞の二種類にわかれ、神々のご事蹟や性格により荘重にまた勇壮に或いは悲壮にまた軽妙に舞で表現しているところである。今日まですべての舞を奉納し伝統を継承するため後継者育成にも尽力している。


④NPO法人乗馬とアニマルセラピーを考える会(岩手県滝沢市)
NPO法人乗馬とアニマルセラピーを考える会(岩手県滝沢市)

 岩手県立大学が管理する馬場施設で育成と繁殖を行うほか、障害を持つ子供たちの機能回復のため馬を活用したアニマルセラピーに注力し日本統合医療学会での発表をおこなうなど実績を上げている。
 また地元滝沢市の依頼で無形民俗文化財のチャグチャグ馬っこ(小荷駄装束を着せ盛岡八幡宮まで進行)行列に参加する馬の繁殖や育成に尽力している。


⑤平田青虎会(岩手県釜石市)
平田青虎会(岩手県釜石市)

 約800年前に閉伊頼基が将兵の士気を鼓舞するため虎のぬいぐるみをつけ踊ったのが始まり。東日本大震災により用具流出などの被害を受けたが、すぐに活動を再開し被災者に希望と元気を与えてきた。
 また氏子として尾崎神社釜石祭り合同大祭や館山神社の例大祭などに毎年参加し、敬老会や全国虎舞フェスティバルにて披露するなど積極的な活動を行っている。


⑥小松獅子保存会(福島県会津若松市)
小松獅子保存会(福島県会津若松市)

 約350年の歴史を持ち、毎年春の彼岸に家内安全・五穀豊穣を願い先祖供養をしながら家々を巡り舞うことから「彼岸獅子」といわれる。芸態は古風を保持し気品と風格を備え県を代表する民俗芸能だが、近年の過疎化や少子高齢化により県内5か所しか残っていない。
 後継者養成のため小学校に出向き、また正確な伝承のため資料や調査報告書をアーカイブ化するなど地道な努力をしている。


⑦子どもたちに日本の伝統文化をみせる会(東京都板橋区)
子どもたちに日本の伝統文化をみせる会(東京都板橋区)

 7年前から地域の子どもたちに日本舞踊を指導し、地元の祭りにおいて発表する場を設けるなど、自ら体験・理解し、国際社会の場で日本文化の良さを伝えることができる国際人の育成につなげることを目標として活動している。
 また、日本の伝統文化には子どもたちの「生きる力」を育てる力があると信じ、板橋区内の学校教育の中で伝統文化の鑑賞を普及することを試みている。


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伝統工芸技術分野
①南部鉄器 釜定展実行委員会(東京都港区)
南部鉄器 釜定展実行委員会(東京都港区)

 南部鉄器業界は400年以上続く伝統工芸であるが、木炭や漆、燃料の高騰により商品を値上げしたばかりである。また、南部鉄器職人は一人前になるのに10年かかるといわれるほどハードルが高いこともあり後継者が不足している。
 製作者である釜定工房が販売店と組み、書籍発行や新商品の発表、写真展、ワークショップなどを行い南部鉄器を始め地元盛岡の魅力を多くの人々に伝える機会を創出し、南部鉄器の使い手、作り手を増やすことを目指している。


②前田 明彦(大阪府岸和田市)
前田 明彦(大阪府岸和田市)

 岸和田だんじりは岸和田城門をもぐる必要から独自の進化を遂げ「下だんじり」と呼ばれる。優美なシルエットと精緻な彫刻も見所である。
 前田氏は主に「下だんじり」に彫刻を手掛けているが、業界全体が衰退してきており仕事量の減少は避けられない。仕事が無くなれば経験値や彫刻技術が低下し次世代への継承が極めて困難になるため、広く“だんじり彫刻”の技術を認知してもらい新たな需要を掘り起こすことで技術の継承を目指そうと尽力している。


③黒田 知子(京都府京都市)
黒田 知子(京都府京都市)

 江戸時代初期創業の「黒田装束店」に嫁いだことをきっかけに「装束司」として衣紋と呼ばれる着付けと装束の仕事を主に行う。葵祭や時代祭、吉田追儺式など京都ならではの祭事や神事に関わり文化の継承や復活に寄与している。
 また、伝統の有職文様を特別なものではなく日常づかいができるアイテムに生まれ変わらせたいとの思いから、1991年に有職織物で作る小物やインテリアを商品とする「堺町御門前平七」をスタート、新たな色彩やスタイルを提案している。


④井上 善夫(二本松萬古焼窯元井上窯)(福島県二本松市)
井上 善夫(二本松萬古焼窯元井上窯)(福島県二本松市)

 江戸時代末より続く木型による「手ひねり型くずし」製法によって急須・湯呑などを制作している残存する唯一の窯元。木型を用いての技法は四日市萬古焼と二本松萬古焼だけであるが、二本松萬古焼井上窯の「型くずし製法」は明治に完成し現在に至っている。東北地方の萬古焼の中で一番古いものが二本松であり、井上窯所有の「木型」の多さは日本一といわれている。


⑤司辻 光男(福井県丹生郡)
司辻 光男(福井県丹生郡)

 丹生郡越前町には日本6古窯として日本遺産認定を受けた越前焼のほか越前漆器・越前和紙などの伝統工芸が息づいている。これまで単体での工夫を重ねてきたがさらなる発展に到達できなかったため、3素材のコラボによる商品開発を行い業界の活気と技術の継承を目的とする。さらに各伝統工芸産地の発展にもつながるよう尽力している。


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食文化分野
①かけはしサポーター(福井県小浜市)
かけはしサポーター(福井県小浜市)

 「御食国」である小浜市には多くの特色ある海産物の加工技術があり、それら食文化が今日まで継承されている。また全国初となる食をテーマにした基本条例を制定、多彩な政策を展開してきた。当団体は「御食国若狭おばま食文化館」の開館当初に結成され、市民や観光客を対象に食文化や伝統行事など研究やイベント開催、展示など年間30件以上の活動を行っている。


②立命館大学 食総合研究センター(滋賀県草津市)
立命館大学 食総合研究センター(滋賀県草津市)

2018年の設立以来、食による地域振興というテーマに取り組んでいる。和食が2013年のユネスコ無形文化遺産に登録されてから各地に伝わる郷土食が再評価を受け、地域の食資源を活用して地域を活性化しようという動きが全国で活発に展開されるようになった。
 食文化による地域経済や社会の活性化をめざす各地の動きを紹介しつつ情報の開示や経験の交流を意図して伝統食に関するテーマでシンポジウムを開催。和食文化学会が事業を後援するなど注目と期待を集めている。


③特定非営利活動法人つなぐプロジェクト(岐阜県羽島郡)
特定非営利活動法人つなぐプロジェクト(岐阜県羽島郡)

 地元を拠点とし子どもを産み育てられる地域づくりや、その子どもたちを見守る仕組みづくりに取り組んできた。子育て・仕事・家庭と大事にしながら働き続けたいという母親のためにセミナーを開催したり、助産師による家庭訪問や相談などの活動をしている。
 また、笠松町の地域文化食である「船頭なべ」の伝統継承のため、地域行事で歴史や調理、試食などの体験学習を行うなど、県が目指す「地域づくり型生涯学習」推進に資する活動をしている。


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