公益財団法人 全国税理士共栄会文化財団

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顕彰・助成実績

平成24年度受賞者

■ 第22回 「全税共 人と地域の文化賞」

 第22回「全税共人と地域の文化賞」贈呈式が、2014年2月21日 ホテルグランパシフィックLE DAIBA(港区)にて開催されました。
 本年度は伝統工芸技術分野から久住 章氏が受賞されました。

賞金 100万円(全国税理士共栄会文化財団) 副賞 100万円(全国税理士共栄会)



伝統工芸技術分野
久住 章(京都府)
受賞者受賞風景

久住 章(京都府)~ 左官伝統技術を活かした建築文化への貢献 ~
 伝統建築における左官工法は、大工やその他の技術に比べて寿命が短く、門外不出の秘伝であることが多い。そのため、一度継承経路が途絶えてしまうと再現が困難となる分野の仕事である。
 久住氏はこうした左官伝統工法を自ら探査して修得し、文化財修復に活かすと共に全国各地で左官技術の普及に尽力した。ごく一般的な漆喰や磨きの技術が今でも多くの左官職に受け継がれているのも、実は同氏の功績に拠るところが大きい。
 また、西欧の技術を日本に取り入れることにも努めた。代表作であるホテル川久の柱装飾では、ドイツの技法を更に発展させた石膏磨きを完成させている。逆に西欧で途絶えていた土壁を日本の技術をもとに再興し、ドイツでマイスター制度に登録されるに至った。そして、約25年前に吸放湿性の高く脱臭性があるといわれる珪藻土を用いる珪藻土壁を広めたのも同氏である。このように伝統的な技術を活かし、文化財から一般住宅に至って広く技術普及に貢献した。
 しかし左官職人に技術を残しても良い道具がなければ仕事ができない。左官職人になくてはならない道具である鏝について、鏝鍛冶と左官を繋ぐ講習会を立ち上げ継続し、左官鏝の品質向上と鍛冶職人の需要にも応えている。さらに、著名な建築家に設計から参加することで、芸術性の高い作品を数多く創出している。伝統工法を現代建築に活かしたデザインを纏めることは容易でなく、同氏以前にそのような事例は殆どなかった。
 このように久住氏のこれまでの活動は、左官技法の維持から建築文化の発展にまで幅広く貢献するものであり賞賛に値するものである。

ギャラリーA4 大工を支えた工人達 左官とその道具展(2004) 帯広 北海道ホテル イタリア磨き(1995)
ギャラリーA4
大工を支えた工人達 左官とその道具展(2004)
帯広 北海道ホテル イタリア磨き(1995)
   
淡路 ゲストハウス(1995) 淡路 ゲストハウス(1995)
淡路 ゲストハウス(1995) 淡路 ゲストハウス(1995)


■ 第23期助成

芸術活動分野
①音楽による福島まち造り実行委員会(福島県福島市)
音楽による福島まち造り実行委員会

 東日本大震災及び原発事故により漁業牧畜などの仕事を失い自宅にも戻れず、今なお避難生活を強いられ苦しんでいる福島県の人々。
 福島の市町村民と子供達を励ますため雅楽曲「舞楽」「舞風神」等を演奏し、日本独自の音楽文化を通して郷土への絆を感じ、将来の希望を育む一助となりたい。


②特定非営利活動法人あしぶえ(島根県松江市)
特定非営利活動法人あしぶえ

 「演劇は心の食べ物」と位置付け、様々な人々を対象に演劇等の公演や演劇教育に関わる事業を行っている。
 また地域と連携し国内外の人との交流を促進することで、創造的な市民社会の形成に努力し芸術文化による心豊かな社会を創ることを目指す。


③認定NPO法人こどもステーション山口(山口県山口市)
認定NPO法人こどもステーション山口

 多くの童話が語りかける優しさや思いやりを現代の子供達に舞台を通し感じてもらい、さらに歌舞伎の手法を取り入れることで日本の伝統芸能の良さに触れてもらうことを目的に活動している。




④笠井瑞丈×上村なおか(東京都国分寺市)
笠井瑞丈×上村なおか

 高名なダンサーである木佐貫邦子がデュオという関係性の最小単位での作品の振付・構成・演出を初めて手掛けるという貴重な機会に恵まれた公演を、幅広い客層に向けて発信し木佐貫の世界を提示することでダンス・身体の持つ普遍的な力を今一度体感し、世代間の交流・交感の場としたい。



⑤NPO法人 ARTE MANDOLINISTICA(京都府京都市)
NPO法人 ARTE MANDOLINISTICA

 日本には1,000を越える多くのマンドリン合奏団があるが、それぞれ独自に活動しており交流する機会が極めてない。日本のマンドリン演奏レベルを向上させるには、合奏団が一堂に会して演奏を聴き合い、音楽の専門家が評価を与えることが必要であるため、今回は中高大及び社会人団体を対象にコンクールを行う。


⑥天使館(東京都国分寺市)
天使館

 舞踏家・笠井叡による振付。異なる身体性を有する6人の女性ダンサーが一つの舞台で出会い、結びつき、ぶつかり、融合することの中から未知の来るべき新しい世界を切り開いていく人材を育成する。
 また、6人の個性の出会いの中からコンテンポラリーダンスの新たな精神的、理念的な可能性を現出したい。


⑦BATIK(東京都新宿区)
BATIK

 ダンサー黒田育世が書く新作は、架空の「解剖学書」の考えに基づく架空の宗教儀式。振付のベースには地方で採集した民俗舞踊のエッセンス、身体障がい者との関わりで見出した動きも織り込まれる。
 「踊り」を信じる架空の宗教は、現代人が忘れている身体の持つ力を思い起こさせ、この時代に踏みとどまることの意味を問う。

⑧門坂 章(兵庫県宝塚市)
門坂 章

 町の記憶や歴史が風化しないよう歴史と文化芸術の香りが漂う街を創るため、都市の雑踏の中でも芸術性を損なわないメディアアートに着目し、茶屋町の歴史と先端芸術を体験できるアートコンテンツを中心としたプロジェクションマッピングイベントを推進している。


⑨「山路みほ筝曲リサイタル」実行委員会(岡山県倉敷市)
「山路みほ筝曲リサイタル」実行委員会

 文化庁文化交流使としてロシアにおいて教授・演奏活動を、またヨーロッパ9ヶ国でツアーを行う。その報告としてリサイタルを開催、海外での邦楽人気の高さを知ってもらうこと及び世界で活躍する筝曲演奏家と尺八奏者をゲストに迎え、邦楽の一層の普及を目的とする。


⑩特定非営利活動法人劇研(京都府京都市)
特定非営利活動法人劇研

 京都・関西を代表する民間劇場。地元で活動する若手アーティストの支援をはじめ、国内外の演劇・ダンスカンパニーも上演することで、地域の文化振興にも寄与している。
 また、定期的に「アトリエ劇研舞台芸術祭」を開催し、地域における民間劇場の役割を改めて考える貴重な機会を提供している。


⑪オペラ「双子の星」公演実行委員会(東京都杉並区)
オペラ「双子の星」公演実行委員会

 東北の詩人・宮沢賢治原作の童話を小山高生氏(脚本)、高橋裕氏(作曲)でおくる。
 未だに東日本大震災の傷跡は深く、様々な問題が山積されている中で、仙台オペラ協会、仙台フィル有志、NHK仙台少年少女合唱団の全面協力のもと、東北から発信するオペラとして被災された方々を含む東北の方々の心に響く応援の公演になるため企画された。 

⑫office A/LB(東京都港区)
office A/LB

 音楽、映像等多くのジャンルとの共存から立ち上がるダンスを追及。異なる国籍・宗教・思想からなされる「対話」を通し、社会文化背景の差異と類似点を多層的に描き、身体が持つドキュメンタリー性を大切にする。
 国際共同制作による文化発信、舞台芸術創造環境の向上、東京-地方都市-海外都市ネットワークの活性化を目指す。


⑬神戸JAZZ実行委員会(兵庫県神戸市)
神戸JAZZ実行委員会

 中学生から大学生を対象にジャズに関わる様々な体験を通して、夢を形にする創造力と生きる力を身につける場を提供し、"JAZZの街・神戸"としてJAZZの継承及び振興を図るため「震災10年市民の企画事業」としてスタートした。
 また、東北との連携による防災・減災の啓蒙や東北支援を目的とする。



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伝統芸能分野
①奄美舟こぎ協会(鹿児島県奄美市)
平田青虎会

 奄美の先人達にとって船は生活と切り離せないものであり、物資の輸送や集落間などの往来は長い間海の道で行われてきた。浜辺に板付け舟等のある風景は島人の心に原風景として残り、舟こぎの伝統を次世代に伝承することは奄美が奄美らしくあり続けるために大切なことである。
 また「舟こぎ・島唄・太鼓・三味線」の伝統文化は、子供達の心身の鍛練に活用するスポーツ・文化でもある。

②二月会再興実行委員会(山口県山口市)
二月会再興実行委員会

 大内氷上(山口市)の興隆寺で、江戸時代末期まで450年以上にわたり行われていた「二月会」を可能な限り再現し、子供からお年寄りまで楽しめるイベントとして定着させ、町おこしや文化・芸術の振興等に努めることを目的としている。



③鹿島櫂練保存会(愛媛県松山市)
鹿島櫂練保存会

 鹿島櫂練とは、鹿島神社の春・秋の祭礼に神輿渡御の先供として催される勇壮な行事。神輿を先供する船は櫂伝馬と呼ばれ、伝馬船を2隻横につないだもので、その上で櫂練踊りを披露しながら御船(神輿を乗せる船)を引いていく。
 古式にのっとる独特の伝承行事で、地元青少年、壮年が奉仕するのが慣例となっている。

④伊予源之丞保存会(愛媛県松山市)
伊予源之丞保存会

 無形民俗文化財「伊予源之丞」は古くから伝わる人形芝居であり、三津の三穂神社の祭りで開演すれば不景気が打開できると信じられ、庶民の娯楽として発展してきた。
 練習は月に2回、公演は地元の老人ホームや市外の大会・祭りに参加するなど、年間で9回~10回行っている。


⑤熊野神社保存会(岩手県大船渡市)
熊野神社保存会

 例祭は4年に1度、五年祭という形で氏子崇敬者をはじめとする地域内外から参加、山車・踊り・虎舞・七福神等の郷土芸能を披露する。
 神社社務所が震災により全壊し装束・龍笛・太鼓・古文書が流出、宝刀も潮で破損・腐食している。昨年、氏子の協力で五年祭は開催したものの装束等の祭具が不足している状況である。

⑥輪島高洲太鼓(石川県輪島市)
輪島高洲太鼓

 能登の祭礼に担ぎ出される「キリコ」には和太鼓が欠かせないが、過疎化が進み少子高齢化が進展する能登半島においては後継者の育成が深刻な問題となっている。
 太鼓打ち技術の習得を基本としながら、キリコ祭りの際には太鼓の打ち手が不足する地域に応援に行き、地域イベントや観光キャンペーンでは祭りを髣髴とさせる組太鼓を披露し、輪島・能登半島の大切な祭り文化の伝承と人材育成を行っている。

⑦相馬流れ山踊り伝承保存会(福島県南相馬市)
相馬流れ山踊り伝承保存会

 南相馬市鹿島区にて活動しており、毎年相馬野馬追にて北郷本陣祭で総大将お迎えの儀式が行われる前に披露する伝統芸能である。
 特筆すべきは鹿島区の女子中学生に流れ山踊りの講習会を実施し、北郷本陣祭で会員と共に公開していることである。このように中学生に毎年伝授していることは、地域文化の積極的貢献活動といえる。


⑧二子鬼剣舞保存会(岩手県北上市)
二子鬼剣舞保存会

 北上市二子町に伝承されている民俗芸能「二子鬼剣舞」を保存育成している。
年50回程度の公演を行い、道場での稽古や子供たちへの鬼剣舞を指導しているが会員数が減少しているのが現状である。
 今後は新しい担い手の確保と二子鬼剣舞の伝承に向け、衣装・装束の整備、修行書編集、伝承事業を実施し伝承に向けた基盤を構築することを目指す。


⑨小河原町内会(岩手県大船渡市)
小河原町内会

 小河原町内会の虎舞は、大船渡市小河原地域の伝統行事として毎年正月に悪魔祓いを行うほか、四年に一度開催される末崎町五年祭に参加するなど、地域に根ざした活動をしている。
 保存会を組織せず町内会員が構成員となり、公民館を拠点として練習及び衣裳道具の保管を行っていた。同地域は震災で大きな被害を受けたが、次世代のためにも道具装束を整え、町内会の立て直しを行う。

⑩田老さんさの会(岩手県宮古市)
田老さんさの会

 毎年8月に開催される盛岡さんさ踊りは岩手最大の祭りであり、各地域の団体は参加する事を絆の証としている。
 震災により各地域の祭りは壊滅状態で団体名すら確認できない状況であり、伝統の笛・太鼓の演奏技術を伝える方も亡くなったりしているが、往時の「田老さんさ踊り」を復活させ地域に活気を呼び寄せるため尽力している。

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伝統工芸技術分野
①遠藤 喜代志(福岡県宗像市)
遠藤 喜代志

 茶の湯釜として著名な芦屋釜は室町時代末でその製作がすたれたが、現代においても優れた造形性と他の釜造りと異なる独特の技法を用いている点で高い評価を得ている。
 その技法の継承は困難であったが、現存する芦屋釜の調査・研究をもとに技法を解明し、風土によって生み出された伝統技術を再評価するとともに後世に伝えるべく尽力している。

②相澤 南(秋田県仙北市)
相澤 南

 秋田県仙北市角館の伝統工芸品である樺細工は江戸時代から続く長い歴史があるが、女性の伝統工芸師はなく職人を目指すことも珍しい。女性の社会進出がめざましい昨今、伝統工芸の分野だけ立後れている現状を打破し、女性ならではの感性を活かした作品を生み出す。
 また、指物技法を活かし木地の制作から自ら行うことで分業化している製造過程を問い直し、樺細工の新たな可能性を引き出す。

③肥田野 正明(新潟県新潟市)
肥田野 正明

 一時は途絶えていた新発田の郷土玩具「金魚台輪」の制作を行っている。
 「金魚台輪」は1887年頃に考え出されたとされ、上部に金魚の形のぼんぼりがのった小さな曳き車である。お盆近くには子供達がぼんぼりの中にロウソクを灯し曳き回して遊んでいた。
 伝統工芸品としてだけでなく、お盆行事として復活させることで、地域の活力及び経済の発展と直結させ、また地域学習の中で学ぶことで次世代にバトンを繋ぐことを目標としている。

④有限会社 表完堂(京都府京都市)
有限会社 表完堂

 京塗の主流である「表派」を継承する四代目・川瀬表完氏の京漆器は、「天然胎乾漆技法」をはじめとする革新的な工芸技術が取入れられていることが特徴である。
 一般的に漆器はその性質から使用頻度が低いが、普段使いができるような作品を制作したり、体験教室を開催するなど活動をしている。

⑤国際木版画ラボ(山梨県富士河口湖町)
国際木版画ラボ

 海外の芸術家を対象に、日本で発達した薬品処理を必要とせず地球に優しい水性木版画を制作する機会を提供している。
 平成25年ユネスコ文化遺産登録をした富士山を題材とした作品も多く、将来的には海外の美術大学に水性木版画を導入し、日本の版画和紙の消費拡大に寄与するなどの副次効果を高めることを目標にしている。


⑥武石 好文(茨城県水戸市)
武石 好文

 江戸時代から続く鋸鍛冶の五代目として、50年以上に渡り伝統技法による道具の製作を続けている。
 また、鋸だけでなく鉋や包丁等の打刃物の技に至るまで広く技術を習得し、業界内においても高い評価を得ている。
 近年手道具である鋸は、電動工具や替刃式鋸の普及とともに建築工事現場から姿を消しつつあるが、六代目である後継者育成をはじめとした人材育成に尽力するなど地域に貢献している。

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人材養成事業分野
①公益社団法人全国公立文化施設協会(東京都中央区)
公益社団法人全国公立文化施設協会

 全国各地の公立文化施設では市民に対する優れた舞台芸術の鑑賞機会の提供、舞台芸術の発表・公演の場の提供、芸術文化活動の普及啓発等の事業が実施されているが、そのためには舞台芸術に関する専門的知識を有する人材を配置することが重要である。
 しかし人材が不足している現状に加え、新しく法律が制定される等の取り巻く環境の変化が早いため一層の人材育成が必要である。

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