第18回全税共地域文化賞

掛塚屋台囃子保存会(静岡県磐田市)

静岡県磐田市掛塚は天竜川の河口に位置し、俗に小京都・小江戸といわれている地域です。

掛塚祭屋台囃子は約600年前より始まったとされ、当初は地域住民の病気平癒を目的におこなわれましたが、掛塚湊の発展とともに出入りの船の航海安全を祈願する祭事へと変化しました。貴船神社の祭礼で曳き出される屋台で、神事の進行とともに8曲が演奏されます。

昭和43年、青少年の健全育成、掛塚祭屋台囃子の伝承を目的として8ヶ町により保存会が結成されました。 掛塚まつりの特色は、大人だけでなく子供達も幼少の頃から役目を担っていることで、8歳未満の子供は屋台に乗りお祭りの流れを学習し、9歳以上は小太鼓の演奏、中学生以上は練りや笛、大太鼓を担当します。祭り屋台を金箔、彫刻、天幕で飾り、喜び勇んで乗っている子供達が生きた彫刻として更に優美に演出されています。

伝承事業として、小学校の生活科の授業にお囃子を聴くことを取り入れ、1・2年生を対象に楽器の演奏方法を指導し、一般には、祭典前に後継者育成を目的としてお囃子を聴く会を実施しています。

地域をあげて、年齢の連鎖を進めていく年齢階梯制と祭祀儀礼の重なりを持つこの祭りの在り方は、少子化高齢化が進行する昨今、町の活性化を図る重要な習俗として推奨されるものです。